• テキストサイズ

ツンデレ王子と腹黒王子

第10章 本当は


午後の授業。

何だか集中出来ない。


「はぁ…」


この数十分で何回ため息をついただろうか。


「何か今日、ため息多くないか?」


隣の席で、翔平が心配そうに俺を見ていた。


「そんなことないよ。ちょっと疲れてるだけだと思うから」


慌てて笑顔を作り言う。

翔平は納得いかない様な表情をしながらも、「あんまり無理すんなよ」と言ってくれた。

俺は笑顔で頷き、外に視線を向ける。

ここからの景色も、見馴れてしまったな。

転校してきてまだ数ヶ月だけど、クラスの皆とも仲良くなれたし、特に問題もない。

先生もいい人だし。

この学校に来て、本当によかった。

授業の終わるチャイムが鳴り、皆帰りの準備をする。

今日は5限目までだから早く帰れる。

それから全員でHRをし、学校が終わった。


「よしっ」


そう言って席を立ったとき。

突然腕を掴まれ、引っ張られた。

その腕を掴んでいる奴は、野木だった。


「お、おい、離せ!」


そう言うが、離そうとはしない。

何か、焦っている?

顔はよく見えないが、足取りが慌ただしい。

どうかしたのだろうか。

て、呑気にそんなこと考えてるひまじゃない。

俺は力一杯、腕をふりほどき、玄関の方へと走った。


「おい、貴夜、行くな!」


何が行くなだ。

いきなり何処かに連れてこうとした奴の言うこと誰が信じるか。

俺は全力で走った。





この先に待っていることも、想像出来ぬまま。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp