第1章 始まり
春樹は俺の反応を見るなり腹を抱えてケラケラと笑っている。
「お前なぁ…」
俺は春樹を睨み付けるが、笑いは一向に収まらない。
俺はしびれを切らし、奴の頭を軽く叩いた。
「痛いよ貴夜~」
叩いた部分を擦りながらもニヤニヤし続けている。
何なんだよ。
少しいらっとしたが何時ものこと、もう慣れた。
「何回もやめろって言ってるだろ」
「え~、無理だよ。貴夜の反応面白いからさ~。相変わらず、耳弱いんだね」
かぁっと、顔が熱くなる。
俺はそれを隠す様にうつ向いた。
そうだよ、耳が弱いよ俺は。
心の中で逆ギレしながらも春樹を睨んだ。
「こめんって、許して?」
絶対心から思ってない、絶対またする。
そういう確信がありながらも、俺は何時もの様に春樹を許した。
「職員室何処か分かんないんだろ?案内するよ」
何故分かったんだと疑問に思ったが言葉には出さなかった。
春樹が歩き出す。
俺はその背中を追いかけ隣に並ぶ。
「いやぁ嬉しいな。貴夜と一緒の学校に通える何て。家も近いんなら簡単に遊びに行けるな!」
本当に嬉しそうに話す春樹。
何だか、こっちも嬉しくなって来た。