第1章 始まり
校門を潜り抜け、生徒玄関へと向かう。
と、そこでひとつの問題が浮上してきた。
ふと立ち止まる。
目の前にそびえたつ校舎を見上げ、俺は自嘲的に笑った。
「職員室の場所、知らねぇじゃん」
更に言えば新クラスもだ。
何ひとつ知らされていない。
案外冷たいものだな、高校も。
俺は肩を落とし、ため息をついた。
と、同時に、突然耳に風が吹き込んで来た。
「ひぁっ!?」
俺は耳をおさえ飛び退く。
と言うか今のは風じゃなくて息だ。
しかもこんなことをしてくるのは、ここでは1人しかいない。
俺は背後を振り向いた。
そこに立っていたのは、俺の予想した人物だった。
「春樹!」
そうこいつが俺の友人、作田春樹だ。