第9章 素直に
何だ、何なんだ。
俺が悪いって言うのか。
あいつが勝手に近づいて来てちょっかい出してきてるだけじゃん。
少し苛立ちを覚えながらもいづみの教室へと歩を進めた。
教室につき、中を覗き込む。
教室内の後方には保護者がたくさんおり、中に入れる状況ではない。
とりあえず入口付近で授業の様子を見ることにした。
久し振りに小学校の授業を見たが、進歩しているな。
進め方も工夫してあって面白い。
感心していると、授業の半分の時間が過ぎているのに気がついた。
そろそろ朝妃の所にも行こうと思い、振り返った瞬間、誰かにぶつかってしまい体勢を崩した。
やば、転ぶ!
そう覚悟し目を瞑った。
だが俺の体は誰かの腕に抱き止められており、床に倒れることなく起き上がる。
な、何が…。
おそるおそる目を開けた。
「大丈夫かい?」
心配そうに俺を見ていたのは、綺麗な顔立ちの、つまり美男子。
「あ、はい、すいません大丈夫です…」
俺は慌てて「ありがとうございました」と言ってその場を立ち去ろうとした。
「あ、待って!」
だが突然、腕を掴まれた。
「ちょっとお願いがあるんだ」