第1章 始まり
姫果を保育園に連れていき、余裕を持って学校へ出掛けた。
徒歩25分くらいで着くような、結構近場にある男子校。
生徒人数は多くもないし少なくもない。
偏差値も中の上くらいで、学校の設備も申し分ない。
いい学校を紹介してもらえた。
暫く歩くと、同じ制服を着た人たちが見られてくる。
知らない人ばかりだから、変に緊張してきた。
校門の前まで着き、校舎を見上げる。
相変わらず、無駄にお洒落な学校だ。
西洋風のお城みたいな外見で、中の設備も充実していて、男子校の割りには整頓されている。
金持ちが通う学校なのではと錯覚してしまうくらいにいい環境だ。
校門の前に掲げてある学校名に視線を移す。
『私立黒葉西男子高等学校』
通称、『黒西』
今日から、ここに通うんだ。
俺は大きく深呼吸をした。
そしてもう一度、学校を見る。
「今日から2年間、よろしくお願いします」
誰にも聞こえないように、そう呟いた。