第8章 嫉妬心
奴は一瞬驚いた様な顔をしたが、少し頬を赤らめ微笑んだ。
そして、優しく頭を撫でた。
「よくできました」
翌朝、目を覚まし起き上がる。
昨夜のことを思いだし、体が熱くなった。
昨日の俺は、どうにかなってたんだ。
こいつに何されてもいいとか思ったりして、バカじゃないのかと思う。
数時間前の俺を殴りたい。
立ち上がり、着替えを持って部屋を出た。
「あ、貴夜兄、おはよう」
「貴文、おはよ。早いな」
もう既に着替えを終えている貴文。
「今日はちょっと早めに学校に行かなくちゃいけないんだ」
今は5時半。
エプロンをつけていると言うことは、今から朝食の準備なのだろう。
最近、家事を任せっきりな気がする。
「朝ごはん、俺が作るよ」
「いいよそんなの、貴夜兄バイトも忙しくて疲れてるでしょ?休める時はしっかり休まなきゃ」
「でも…」
貴文は「いいから」と言って俺の背中を押し風呂場へと促した。
「あれ、貴夜兄、首のここ赤いよ?」
貴文は俺の首に軽く触れる。
俺は一瞬でそれが野木のつけた跡だと分かり、手でそれを隠した。
「た、多分虫にさされたんだと思う、気にすんな」
笑顔を向け、俺は風呂場へ逃げるようにして入った。