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ツンデレ王子と腹黒王子

第8章 嫉妬心


鏡でそれを見てみる。


「あれ…?」


跡なんてついていなかった。

どう言うことだ?


「貴夜兄ごめんね」


声のした方を振り向くと、入り口に貴文が申し訳なさそうに立っていた。


「普通に聞いても、絶対否定されると思ったからかまかけてみた」


頭が追い付いていかない。

貴文は一体何を言っているんだ。


「でもおかげで確信したよ」


優しく笑う貴文。

でもその笑顔が、逆に怖かった。


「貴夜兄と隼人さんの関係、俺は応援してるから」


いつぶりだろうか、こんなにも死にたいと思ったのは。

最悪だ、最悪すぎる。


「貴文、何で…」

「隼人さんが前泊まりに来たときから怪しいなとは思ってたんだ。それで、昨日、声だけだけど聞いちゃった」


声って、主に俺のじゃねぇか!

嘘だ、これは夢だ、悪い夢でも見てるんだ。


「言っておくけど、これは現実だよ」


俺の現実逃避をことごとく打ち破り、爽やかな笑顔で言う。

もう嫌だ…。

全部あいつのせいだ。

あいつが家に来なければ!

俺は絶対に、あいつの事は好きじゃない。

寧ろ嫌いだ、大嫌いだ。


「貴文、俺は、あいつが嫌いだ」


自分に言い聞かせる様に、そう呟いた。

そうだ、俺。

しっかりしろ。

もう道は間違えない、間違ってたまるか。

そう意気込む俺を見て、貴文は小さくため息をつき呟いた。


「さっさと素直になればいいのに…」


その声は、俺には届かなかった。
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