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ツンデレ王子と腹黒王子

第8章 嫉妬心


夜10時半。

またこのパターンかよ。

俺は前回の様に、ベッドの隣に布団を敷く。


「前から思ってたけど、貴夜の部屋って何もねぇな」


俺のベッドに腰をおろしながら言う野木。


「必要最低限のモノは置いてないからな」


本当に何も置いていない部屋だから、自分でもつまらない所だと思う。

布団を敷き終わり、なるべく遠くに居ようと思い勉強机の椅子に座った。


「隣来いよ」


野木は手招きをしているが俺はそれを無視し本を読む。


「たーかーやー」

「何だよ!」


急に背中にのしかかってきた野木は読書をことごとく邪魔する。

かまちょかよ…。


「これ、親?」


机の上に飾られている写真を指差し野木が言う。

そこには、まだ小さい頃の俺と親がうつっていた。


「まぁ、そうだけど。まだ貴文が産まれてないとき」


て、何普通に答えてんだ俺。

俺は写真を伏せ、野木を押し返す。


「子どもの頃のお前も可愛いのな」

「か、かわ…!?」


人にそんなこと初めて言われて、動揺してしまった。


「俺の言葉ですぐ赤くなるところも、すっげー可愛い」


そこではたと気付く。

野木の声が、震えている…?

いや、気のせいかも知れないけど、でもさっきから顔うつ向かせてるし。


「野木…?」


声をかけてみるが返事はない。


「家族とかに、愛されてたって証拠だな」


そう言った野木の目から、涙がこぼれ落ちた。
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