第8章 嫉妬心
「うわぁぁぁ!」
玄関のドアを開け現れたのは姫果だった。
俺は野木を突き飛ばす。
危なかった、流されてた。
俺今、こいつの名前…。
顔が熱くなる。
俺は姫果に目線を合わせるように膝をつき肩をつかんだ。
「だめじゃないか、勝手に外に出てきちゃ。でもいいタイミングだったよありがとう」
不思議そうな顔をする姫果。
「貴夜兄顔真っ赤だよ、大丈夫?」
「だ、大丈夫!今暑いからかなぁ?」
明らかに不自然な俺に姫果は首をかしげる。
でもすぐに笑顔になり「そっかぁ、暑いからかぁ」と言った。
純粋でよかったと心の底から思う。
「あ、隼人さんだ!」
姫果は後ろにいる野木に気付き手を振る。
野木も笑顔で手を振り返す。
だが、目は笑ってない。
そりゃそうか、邪魔されたもんな。
「さぁ姫果、家の中に入ろう」
「えぇ?隼人さんは一緒に入らないの?」
俺は大きく頷き姫果を中へ促す。
「あれ、隼人さんこんにちは」
そこで何と、貴文が帰宅。
「泊まりに来たんですか?」
「うん、そうなんだ」
「じゃあどうぞ、中に入ってください」
おい、ふざけるな入って来るな!
と言うのは言えず、姫果に手を引かれ、野木は家へと入って行った。