第8章 嫉妬心
家のリビング。
帰る前に杉山に言われた事がまだ頭に残っている。
『隼人先輩は、僕のだから』
あんなあからさまに敵視されては、あの2人が付き合っているのは確実だな。
でも何で、あいつは俺がバイトしてる事とか野木に何かされてる事とか知ってるんだろう。
野木が言ったのだろうか。
まぁどっちにしろ好都合だ。
これで、野木との縁を切れるかも知れない。
「貴夜兄、このヨーグルト食べていい?」
姫果が冷蔵庫を開けヨーグルトを指さしている。
「あぁ、いいよ」
姫果は嬉しそうに笑いヨーグルトを取り俺の前に座った。
「貴夜兄、隼人さんってまたいつ来るの?」
ヨーグルトを口に運びながら言う。
そう言えば、また来る的なこと言ってたな。
でもごめんな、多分もう来ない。
「さぁ、な」
俺はもう来ないことは口に出さず、笑った。
その時、携帯が鳴った。
画面には非通知とうつっている。
念のために出ておこう思い通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。
「もしもし」
『おぉ、出た出た』
さっと血の気が引いた。
出なきゃよかったと後悔している。
俺のバカ、何で出てしまったんだ。
『今日お前んち泊まっても…』
「お断りします」
通話を切り立ち上がる。
そして玄関へと向かいドアを開けた。
やはりそこには野木の姿があり、ニヤニヤしながら立っていた。
俺は満面の笑みを浮かべ、言い放つ。
「帰れ」