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ツンデレ王子と腹黒王子

第8章 嫉妬心


放課後。

午後の授業はあんまり集中出来なかった。

昼の事が頭の中をぐるぐると回ってもやもやして、気持ち悪い。

今日はバイト春樹が代わってくれるって言ってたから、早く姫果迎えに行って、早く飯食って寝よう。

そんなことを考えて校舎を出た時。


「あの!」


声をかけられ、後ろを振り向いた。

視界に入ったのは、少し小柄な少年。

あれ、よく見たらこいつ、野木の隣にいた人?

確信はないが、特徴的な丸眼鏡をしているため多分そうだろう。

でもこいつが、俺に何の用だ。


「三好貴夜さん、ですよね」

「そう、だけど…」

「僕、1年の杉山晴って言います」


後輩だったのか。

と言うか何で1年が俺の名前を…?


「単刀直入に言います。もう隼人先輩に近付かないでください」


暫しの沈黙。

杉山晴の言葉を理解するのに数秒かかってしまった。


「近付くも何も、あいつから俺にちょっかい出してくるからさ、俺は避けてるんだけど…」


そう言いながらも考える。

こいつはやっぱり、野木の恋人なのだろうか。

だからこんなこと俺に言うのか。


「それでも、もう近付かない様にしてください。じゃないと、バイトしてることばらしますよ」

「な、何で知ってるんだ!?」


そう聞いても、杉山はニヤリと笑うだけ。

くそ、同じ弱味を2人に握られるなんて。

しかも後輩に、奴の恋人に。

俺は杉山を睨んだ。

杉山は歩き出し、俺の横を通り過ぎる。

その時、小さく、でもはっきりと呟いた。




「隼人先輩は、僕のだから」
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