第6章 冷静に
風呂から上がると、丁度貴文がタオルを持ってきてくれた。
「急に風呂場に駆け込むからびっくりしたよ」
俺にタオルを手渡しながら言う。
「ありがとう」と一言言い、体を拭く。
そんな俺を見て、貴文は首をかしげた。
「貴夜兄、水浴びたの?」
俺は一瞬動きを止め、苦笑いを浮かべた。
「まぁな」
「…何かあった?」
貴文を見る。
無駄に勘がいいんだよな、こいつは。
俺は出来るだけの笑顔を貴文に向けた。
「別に何もねぇよ、心配すんな」
そう言い、頭を撫でてやる。
でも貴文は納得いっていない様な表情をした。
だが俺はそれに気付かないふりをして自室に向かった。
部屋に入り、タンスから下着と服を引っ張り出し着る。
そして、ベッドへとダイブ。
家について家族に会ったからか、さっき疲れがどっと出てきた。
気が緩み、眠気が襲ってくる。
ふと、眠りに落ちようとしたとき、ノックの音が部屋に響いた。