第5章 初めて 2
嘘、俺、そんな…。
野木が口元を拭いニヤリと笑った。
「気持ち良かったか?まぁすぐイったんだから、気持ち良いに決まってるか」
気持ち良くなんかない。
最悪だ。
何で男に2回も襲われなきゃいけないんだ。
いっそう、笑えてしまう。
じわりと、視界が滲む。
そして涙が俺の頬を伝った。
「ちょ、お前、泣くほど?」
「べ、別に泣いてない」
そうは言ったものの、涙は止まるどころかどんどん溢れ出てくる。
「み、見んなよ、もぉ…」
野木の手が、俺の頬に触れた。
そして優しく、涙を拭う。
「悪かった、強引にしてしまって。でもさ、俺ももう限界なんだわ」
自然と下の方へと目が行く。
確かに、勃っていて辛そうだ。
「ま、まさか、最後までヤりたいとか、そういうのじゃ…」
「そのまさか」
危険信号が発令した気がした。
こいつは危険だと、体が本能で察知したようだ。
「ふざけんな!誰がお前何かと!」
俺も、多少の知識は持ってる。
主に春樹から聞かされたことだが…。
と言うか、俺何流されてるんだ。
さっさと目を覚ませ。
俺は冷静になり、野木を見る。