第4章 初めて
風呂も入り、後は寝るだけとなった。
が、ここからが問題だ。
部屋がひとつしか余っておらず、俺は野木と同じ部屋で寝なければいけなくなった。
しかも、布団もひとつ。
つまり、狭い布団で、しかも野木と寝なければいけないのだ。
「ごめんねぇ、不便な家でしょ?」
「いえ、全然そんなことないですよ!」
悪いのは後から来たこいつのせいだから。
「そうかい?じゃあ私はもう寝るよ。2人も明日に備えて、寝なさいね」
「はい、お休みなさい」
おばあさんが部屋から出ていき、居間の電気も消え、家全体が暗くなった。
さて、本格的に2人きりなのだが、どうすればいい?
「おい貴夜」
「呼び捨てすんな」
的確につっこみを入れて行く。
「早く布団入れよ」
野木を見ると、もう既に布団に入っており、手招きしていた。
「誰がお前の隣で寝るか。俺は布団の外で寝る」
「タチ悪いなお前。いいから、来いよ」
「うわっ!?」
腕をぐいっと引っ張られ、布団に倒れ込むような形になった。
「いって、何すんだ、よ………?」
ホント、何してんのこいつ。
何で俺、こいつに押し倒されてる風になってんの?
「貴夜」
「だ、だから、呼び捨てすんなってば。つか、どいて」
力では敵わないと勉強したため、俺は野木を睨み付けた。
だが野木は、真っ直ぐ俺を見るだけで、動こうとはしない。
「今日電車で、痴漢に触られたとこ、どこ?」
「な、何でお前なんかにそんなこと……ひっ!?」
服の上から、胸の突起を弾く。
「ここは?」
「だから、何でお前なんかに言わなきゃなんねぇの、離れろ……うわ!」
野木の手を払いのけようと腕を動かしたとき、両手で俺の腕を掴みあげ、何処からか取り出した紐で俺の手首を縛り頭上で拘束した。