第1章 始まり
朝食を作り始めて数分後、眠そうな声がリビングに響いた。
「おはよ、貴文」
軽く微笑みかける。
貴文は大きな欠伸をひとつすると、テーブルの上に食器を並べた。
食器は全部で5個。
俺は5人分のオムレツを皿に乗せ、サラダを作っている貴文に声をかけた。
「3人起こしてくるから、サラダ出来たら盛り付けといて」
「分かった」
その返事に俺は頷きリビングを出る。
階段を上がり2階へ。
少し進んで右手にある一番目の部屋の前で立ち止まる。
ドアノブを捻り扉を開け放つ。
少し薄暗い部屋。
正面の壁の前にはベッドが置かれており、その上でモゾモゾと動く人影。
俺はそれに近づき、一気に毛布をはぐった。
ベッドに横たわっていたのは、3つの小さな身体。
カーテンを開け、その身体を順番に揺する。
「こら、お前ら起きろ。朝飯出来たよ」
「ん~…貴夜兄?」