第3章 ばれた
午後10時半。
バイトもあと15分で終了。
今のところ異常はない。
嫌な予感とか、気のせいだったのだろうか。
客の相手も終わり、あとはゴミを捨てて着替えて帰るだけになった。
俺はゴミ袋を片手に、裏口のゴミ捨て場へと足を運んだ。
ほんの数時間でこのゴミの量ははんぱない。
なるべく体からゴミ袋を遠ざけ歩いていた。
ゴミ捨て場につき分別する。
まったく、客も分別ぐらいして捨ててほしいものだ。
心の中で文句を言いつつ黙々と仕事を続けた。
「えーっと、これは燃えるゴミ?」
よく分からないものまで混ざっていて、もう本当によく分からない。
「はぁ…」
思わず、ため息が出たときだった。
「三好くん」
背後から俺を呼ぶ声が聞こえ、振り返る。
「あ…」
目が合ったのは、俺の嫌いな、野木隼人だった。