第3章 ばれた
放課後、ほとんどの生徒が部活に行くなか、俺は1人帰宅。
幼稚園へと、足を運んだ。
「貴夜兄!」
幼稚園につくと、先生と一緒に姫果が出てきた。
姫果は俺に駆け寄り抱きつく。
「いつもありがとうございます、先生」
「いえいえ。姫果くん、1時間ぐらい前から、『貴夜兄まだなの?』って言っててねぇ。本当に貴夜くんの事が大好きなのね」
くすくすと笑う先生。
俺は姫果を撫でながら先生に笑いかけた。
「俺も、姫果好きですよ」
それからもう一度お礼を言い、幼稚園を後にした。
姫果と手を繋ぎ家に向かっている道中。
「貴夜兄、後ろから誰かついてきてるよ」
などと言い出した。
だが振り向いても誰もいない。
「気のせいだよ」
と言って笑ったが、嫌な予感が俺の中に渦巻いた。
何か起こるような気がする。
俺は夕暮れ時の空を見上げ、何もないことを願い目を瞑った。