第2章 出会い
「何か、疲れた…」
夕暮れ時、隣を歩く春樹にそう愚痴をこぼした。
あれからクラスの奴等に質問攻めにあったり、昼休みには野木隼人と何となく気まずい雰囲気で校舎案内をしてもらったり、色んな手続きをしたり。
とにかく疲れたの一言だ。
「確かにお疲れの様子だな。そんなんでバイト大丈夫かよ」
「んー、多分」
「しっかりしろよ。仮にも俺たちホスト何だから」
香水の匂いが漂う店内。
少し酒の匂いもする。
果たして未成年がここにいて大丈夫なのだろうか。
いや、いいのか、雇ってもらえたし。
などと呑気に考えているうちに、指名された。
「開店始めに指名されんのはやっぱタカヤか」
楽屋を出ていく時、ケラケラと笑いながら言う先輩に苦笑いを返す。
楽屋を出て、ホールへと向かった。
ホストでバイト何て、かなり痛いと思ってる。
けど案外夜の仕事って儲かるんだよ。
でも今は後悔してる。
酒を飲めない分サービスしてあげなければならないし、面倒くさい女も相手にしなければならない。
そんなこんなやってるうちに、当店のNO.1ホストにまで成り上がってしまった。
そのおかげで毎日シフトが入っている。
でもお金が貰えるから文句は言えないのだが。
俺は笑顔を作り、指名してきた女の前に立った。
「ご指名ありがとうございます、お嬢様」
何てくさい台詞にも黄色い悲鳴をあげる2人の女。
この何処がいいんだかよく分からない。
そう思いながらも笑顔を崩さずソファに座った。
「ハルキももうすぐ来ますので、少々お待ち下さい。何か注文されますか?」
メニューを眺める2人に気付かれないよう、俺はため息をついた。
疲れる…。