第2章 出会い
その立ち姿も凛々しく、目を奪われた。
確かにイケメンだ。
「今日は、クラスに新しい仲間も加わり、これからが楽しみになって来ました。このクラスは、全員面白い奴らばかりです。だから直ぐ馴染めると思います。これから、よろしくお願いします、三好貴夜くん」
そう、俺に笑いかけた。
その笑顔は爽やかで、何処か説得力のあるものだった。
だけど何処か、影のようなものもあるように思える。
そう思ってしまったからか、俺にはその笑顔が嘘の様に思えた。
教室内に拍手がおこり、野木隼人が席へと戻る。
それから先生が軽く連絡をして、朝礼が終わった。
授業前、俺の机の周りには、殆どの生徒が集まっていた。
色んな質問が飛び交い、答えるのに精一杯の状態だ。
ふと廊下を見てみると、他クラスの者まで俺を見に来ているようだった。
女子みたいだな。
心の中でため息をつく。
「あ、三好くーん」
「は、はい?」
突然名前を呼ばれ立ち上がる。
俺を呼んだのは夏目先生のようで、俺は先生に駆け寄った。
「校舎案内とか、分からないことがあったら、委員長の野木くんに聞くといいから。彼にも貴方のお世話を頼んで了承もらってるから」
「え…」
「あら、嫌なの?」
「い、いえ!」
俺は慌てて首を横に振った。
すると先生は、「そーゆーことだからよろしくね」とにこやかに言ってその場を立ち去ってしまった。
と言うか普通校舎案内って隣の席の人がするもんじゃないのか?
俺は小さくため息をつき、席へ戻ろうとし振り返った。
が、道は塞がれていた。
見上げると、そこには野木隼人が立っていた。