第12章 番外編【貴夜に出会うまで】
高校で新しい友達も出来た。
学校の設備もいいし、ここならやっていける。
男子だけだから安心だ。
もう、恋はしない、いや、出来ないと思う。
でもこれでいい。
両親と同じ道を歩むくらいなら、その方がましだ。
2年生になって数日後のこと。
担任の夏目先生に呼び出され、俺は職員室を訪れた。
「野木くん、呼び出してごめんなさいね」
「いえ、別に予定もないですし」
そんなことより早く本題を話してほしい。
俺はそう思いながらも笑顔を取り繕った。
「実はね、明日私たちのクラスに転校生が来るの」
「転校生?」
「そう。ちょっと中途半端な時期だけどね…。あぁそれで、委員長の貴方に世話係りをしてほしいんだけど…」
俺が、世話係り?
そう言うのは隣の席の奴とかがするもんじゃないのか?
「本当は隣の席の子にしてもらおうと思ったんだけど、彼の性格的に貴方と合ってるんじゃないかと思って…。頼んでもいいかしら」
性格的に合ってるって、どう言うことなんだ。
まぁでも、面白そうだし、やってみるか。
「分かりました、やります」
転校生って、どんな奴なんだろう。
少し、期待してもいいかな。