• テキストサイズ

ツンデレ王子と腹黒王子

第12章 番外編【貴夜に出会うまで】


中学校卒業まであと2ヵ月。

それは、突然だった。


「は?今、何て?」

「だから、別れてほしいの」


1年間付き合っていた彼女にそう言われた。

新しく、好きな人が出来たとか何とか言ってたけど、多分きっと、前から浮気はしてたと思う。

俺はそれが信じられなくて、ずっと気付かない振りをしていた。

そこではたと気付く。

それじゃあ、父親と一緒じゃないか。

浮気に気付いていても見てみぬ振りして、現実逃避して、ずっと、逃げていた。

でも、今思ったら仕方のないことなのかも知れない。

実際、本当に怖いのだ。

裏切られた気分で、腹が立つ。

女が、怖い…。

父親も、こんな気持ちだったのだろうか。





卒業後、俺は県立には行かず、滑り止めで受けていた男子校に入った。

もう、女の人は信じない。

そう自分の中で勝手に決めた。

入学して暫く経った時。


「やぁ隼人くん、久しぶり」

「雄人さん…」


同じ中学校の先輩に出会った。

ここに入ったとは聞いていたが、まさかまた関わることになろうとは。


「まさか、君がここに来るなんて思ってなかったよ。もっと頭のいいところに行くと思ってた」

「最初はそのつもりだったんですけど、色々ありまして…」

「そっか…」


俺は、この何でも見透かした様な目が苦手だ。

弱味を握られているようで何だか怖い。


「まぁ俺は大歓迎だよ。じゃあ行くね」


雄人さんはそう言って去っていった。

あの人は、嫌いじゃない。

嫌いじゃないけど、好きにはなれないのだ。

何故かは分からないけれど。
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp