第12章 番外編【貴夜に出会うまで】
そして14歳になった時。
「あぁ、隼人。今日母さんと離婚したから」
突然、父親にそんなことを言われた。
「は、何言ってんだよ、急に…冗談キツい」
俺がそう言うが、父親の真剣な眼差しは消えない。
マジかよ。
頭が、真っ白になった。
最後の最後まで、母親と口を聞かなかった。
離婚するってことも、少しくらいは相談してくれてもよかったじゃないか。
「母さんはもう帰って来ないから、しっかりやれよ」
何で、そんな平気な顔していられるんだよ。
仲悪くても、離婚届け見たら何も思わない訳がない。
所詮、そこまでだったってことなのか。
じゃあ一体、家族ってなんだ。
親ってなんだ。
家族の温かさって、なんだ…。
分からない。
俺には何も…。
翌朝。
リビングに行くと、机の上に紙が置いてあった。
何だろう。
手に取り見てみる。
『離婚した今、ここにいる意味はない。さようならだ、しっかりやれよ』
そこにはそう書かれていた。
こんなの、あんまりだ。
俺はとうとう、ひとりになってしまった。
誰もいない、本当の孤独。
「ははっ…」
何で…。
「ははは…」
こんなことに。
「……ふ、ぅ…っ」
涙があふれでて止まらない。
でも俺には、慰めてくれる人も、側にいてくれる人も、誰もいない。
俺にはもう、何も…。