第11章 番外編【おばあさんの家】

夜。

皆が寝静まった頃、俺はひとりで考えた。

貴夜兄と隼人さんの関係はここから始まって、多分ここから、貴夜兄は隼人さんのことを好きになっていったんだと思う。

くっつくまでの話しは、隼人さんから聞いてる。

盛大にのろけてくるから、少し羨ましかった。

多分そこから、焦り始めたんだと思う。

ある日友達に、「お前何で誰とも付き合わねぇんだよ。選び放題なのに」と言われた。

確かにそうかも知れない。

学校に告白してくる女子はたくさんいる。

でも、そうかも知れないけれど、果たしてそこに愛はあるのだろうか。

俺は、本当に好きな人と付き合いたい。

愛がないまま付き合っても、相手を傷つけるだけだ。

俺は人を傷つけたくない。

その話を聞いた友達は、「相変わらず真面目だな」と言った。

普通は、そう考えるものではないのか?

それとも、俺が堅すぎるのか?

よく分からない。

よく、分からない…。

だけどおばあさんの言葉で思い知らされた。

「恋」というものは、急いではダメだと。

ゆっくり、自分のペースで進んで行けばいい。

もしかしたら、同性を愛してしまうかも知れないけど、その時はその時だ。

そこに、愛は存在しているのだから。

誰も否定なんかできない。

まぁ多分、普通に女の人を好きになると思うけどね。