【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第15章 自殺か他殺か
「え‥‥?」
香織が見せたものは渡辺健二のバースデーカード。
そのカードには健二に向けてお祝いのメッセージが書かれていた。
メッセージを書いた人物は麻友、光輝、栄輝、双喜の名前が書かれている。
犯人は一人だけだと思い込んでいた敦は驚く。
「な、何で!?」
「ただのバースデーカードだろ!!」
光輝と栄輝が反論する。
「確かにこれはただのバースデーカードです。でも、あなた達−−いえ、特に光輝さんは血眼になって探していたことでしょう」
部屋にいる光輝以外の全員が彼に目を向ける。
「私達がやったっていう証拠はあるの!?」
「勿論」
香織は頷き、事件の真相を話し始める。
「この事件は自殺に見せかけた他殺。事件の原因は−−遺産です。昨日の家族会議で彼は八重さんと結婚しようとした」
「しかし、あなた達四人はこう思ったはずです。『このまま八重さんと結婚してしまえば遺産は八重さんの方に行ってしまう』と‥‥結婚する前に殺してしまえば遺産は四人の元に来る」
「家族会議で口論になった後、渡辺健二さんはスナックに行った。スナックのママさんの証言では、昨日は『楽しそうに飲んでいた。自殺する人とは思えない』と言ってました。この時点で楽しそうに飲んでいた人が自殺するのはおかしいと私は思いました」
「渡辺健二さんがスナックに行っている間、毒が入っているワインを執務室の机に置いた」
「待ってください如月さん、ワインに毒を入れるとしてもワインに蓋があります。開けて入れたとしてもバレるんじゃ‥‥」