【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第15章 自殺か他殺か
証言についてまず最初に聞いたのは渡辺健二の家族だ。
彼には子供がいなく、弟の家族と一緒に住んでいる。
弟の大貴は現在海外にいるため、事件当時家に居たのは被害者の渡辺健二、大貴の妻、渡辺麻友、長男の光輝、次男の栄輝、三男の双喜、そして美羽八重だ。
「事件当時、私達は健二さんと誕生日パーティーをしていたの」
「その後、叔父が大事な話があるからって」
「光輝!それは!!」
光輝の発言に麻友が止めるように言う。
「大事な話?」
「実は健二さんと八重さんは付き合ってるんです」
「八重さんとはいずれ結婚するって言ってました」
敦の問に双喜と栄輝が答える。
「私達は反対しました。あの忌々しい雌猫と一緒になるのは嫌でしたので」
「嫌って‥‥何でですか?」
一度結婚したとはいえ、好きなら結婚するのは普通のことだろうと香織は思った。
そこまでして嫌うのは何かしらの理由があるのだろう。
「だって、健二さんとは随分歳が離れているもの!遺産目当てだわ!!」
「わ、私!そんなつもりはありません!!私は本当に健二さんのことを!!」
バンっとドアが開かれ、出てきたのは八重だった。
「黙らっしゃい!健二さんが死んだのはあなたのせいよ!!結婚しようとしたのだから!!」
そこからは麻友と八重は口論になっていた。
光輝はその様子を見ながらライターに火を付けてからタバコを吸っている。