【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第3章 禁忌という名の罪
体育館から出て行ったErrorを太宰と中也が追い着く。
彼等の視線の先には化け物の触手に掴まれ、気絶する香織の姿。
「あーあ、中也がさっさと殺さないから」
「はぁ!?何責任転換してんだ糞太宰!!元々は手前が‥‥」
「彼女が危険だ、急ぐよ中也。」
「て、おい!」
二人が駆け出そうとした瞬間、Errorの体が黒い炎に包まれた。
奇声を上げながらErrorは香織の体を放した。
香織は気を失っているはずだが彼女は何故か立っていた。
そしてパチンと香織は親指と中指で指を鳴らすとErrorに包まれていた黒い炎がパッと消えた。
「全く‥‥このボクに肉体労働をさせるとはこの町はどうなってるんだ?まぁ、なまった体を動かすには丁度良いか。」
溜息をしながら香織はErrorを見る。
あれは本当に香織なのか、先程の人格と大きく違う。
「そこの傍観者等、ボクの邪魔をしないでくれる」
太宰と中也がいるのを気付いているようで邪魔をするなと云う。
そんな彼女とは裏腹にErrorは香織に襲いかかる。
「遅い」
冷めた声で香織が呟くと彼女は人差し指をErrorの額に触れる。
「解除」
その二語を云うとErrorの体は光に包まれ、人の姿になった。
「何なんだアレ‥‥」
驚いた中也が呟く。
「面白い展開になってきたね。」
驚く中也とは別で、太宰はフッと笑みを浮かべる。
「君、香織じゃないね。誰だい?」
「久方ぶりの肉体労働故は疲れた。ボクのことはいずれ分かること‥‥後は頼んだぞ、傍観者等。」
彼女がそう云うと体の力が抜けたのか、倒れそうになるがその体を太宰が支える。