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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第3章 禁忌という名の罪





目を開けると椅子に座らされていた。
見覚えのない場所に香織は身構える。

「おや、起きたかい?」

少し離れたところに机があり、高そうな椅子に男が座っていた。
どうやらここは執務室だろう。

「首領、太宰です。」

「嗚呼、入り給え。」

ここに太宰がいることに香織は驚いた。
ドアが開かれ、入って来たのは太宰と帽子を被った男だ。
帽子を被った男には見覚えがある。

(あの人、隣のクラスにいた‥‥)

今日、太宰と一緒に転入してきた男子生徒だ。
確か名前は中原中也だったのを思い出す。

「二人共、丁度いい時に来たね。」

「別に森さんが直々に聴取しなくてもいいと思いますけど。」

「君達の報告を受けてこの子に興味が湧いたからね。」

森と呼ばれた男の視線が香織に向けられる。

(私、もしかしてとんでもないことに巻き込まれてる?)

薄々と感じていたことを心の中で呟くと森は「さて‥‥」と本題を切り出そうとする。

「Errorを倒したと報告を受けているが君は何者かな?柳瀬香織君。」

(Error?なにそれ‥‥)

話を聞く限り、Errorとは先程の化け物のようだ。

「何者かって‥‥一般人です。」

別に間違ってはいない答えだと思う。
聞きたいことが違ったようで森は質問を変えた。

「では質問を変えよう。君は生命体‥‥あるいは憑依する異能を持つ異能力者かい?」

生命体?憑依?森はどんな報告を受けていたのか知らないが香織には異能力がない筈だ。

「私には異能がない筈では‥‥」

「では『アレ』は何だったんだい?」

香織と森の会話を聞いていた太宰が口を出す。
太宰が言う『アレ』に香織には心当たりが無い。
それは数時間前のことだった。





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