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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第3章 禁忌という名の罪






「ということなのだよ。」

一通りの説明を太宰から聞いた香織は首を捻る。
本当に心当たりが無いのだ。

(え、二重人格?)

「そんなことが‥‥」

「とぼけんじゃねぇ、手前なら分かるだろ。」

「いやほんとに知らないんですって‥‥」

「では柳瀬和雄なら知っているのかい?」

森の言葉にビクリと肩が揺れる。
確かに柳瀬和雄−−−父なら知っているかもしれないがここで問題がある。

「父なら知っているかもしれませんけど、父はもう‥‥」

10年前の日に死んだ。
遺体は見ていないがそう聞かされた。

「それが妙なのだよ、君の父は生きているという情報がある。」

「え‥‥」

「娘の君なら本人かどうか判別出来るかもしれない。これを見てくれ給え」

映された映像には確かに死んだ筈の父の姿が映っている。

「この映像は3年前のものだ。Errorが現れたのも3年前、彼は研究員で薬−−−亜鬼薬を作っている情報がある。我々ポートマフィアは彼を追ってるのだよ。」

香織には聞き覚えのある組織。
ポートマフィア−−−港湾都市横浜を縄張りにする凶悪マフィアのことだ。
だが今は別のことで頭がいっぱいな香織は気にしていない。

「ま、待ってください!確かに父ですが‥‥それにError?亜鬼薬?って何なのですか?」

「彼女は本当に何も知らないようです。森さん‥‥」

「そのようだね。」

一体彼等は何の話をしているのか香織には分からなかった。

「君の父はヨコハマを巻き込む禁忌を犯している。これを聞いたからには普通の一般人に戻れない‥‥それでも聞きたいかい?」

真意を探る森の目が香織を捉える。
その様子を見た香織は彼等が嘘を言っている風に思えなかった。

(それだけのことを父がしたんだ。だったら‥‥)

「本当に生きているのだとしたら何故教えてくれないのか知りたいです。それに私は柳瀬和雄の娘です‥‥娘である私が父のことを知らないのはおかしいと思います。例えそれが日常に戻れなくても‥‥私は真実から目を背きたくないです。お願いします!知っていることを教えて下さい!」

言葉を選びながら香織は森に自分の決意を示す。

「いいだろう。」

森のその一言から香織は耳を傾ける。





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