【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
「確か、社長の異能は‥‥制御系の異能だった気がする」
「制限が解除されたボクは今こうしているってわけ」
「でも、私は戦える程強くなんか‥‥」
6年前、唯斗が傷付けられるのが嫌だった香織は香織自身が強くなってから唯斗と一緒に戦うという約束をした。
「あれさ、無理だよ。ボクはそんなに長く待てない。後で気付いたんだけど香織が言ってることは『自分自身を認める=自分が好き』ってことになるよ?」
「それは‥‥」
唯斗が言ってることには否定出来ない。
香織は黙り込む。
「それに、ボクが居なければさっき死んでたよ」
「だから出てきたの?」
「悪い?ボクは香織に生きててほしいからボクはボクの心に従っただけ」
「悪く‥‥ない」
「6年間、香織を見てたけど香織は何も出来ない自分が嫌いってことが分かった」
「当たり前でしょ!今回も実際に何も出来なかったし」
「それは違う。強さってのはさ、物理的なものだけじゃない。精神とか思いもあると思う。確かに香織は弱い、でもそれは物理的な話だ」
「何が言いたいの?」
「香織は十分強いってこと」
唯斗が何言ってるのか香織には分からなかった。
(私が強い?)
「香織の強さは仲間思い。時にはそれが武器になる。それくらいのことが分からないなんてまだまだだなぁ」
「そうか、私‥‥過去と比べていたんだ」
「だろうね、無理はないけど。もうひとつ言っておくとボク的には香織は役に立ってる」
「それ、社長にも言われた」
「人には向き不向きがあるのと一緒、役に立ってないとしても自分の得意分野で役に立てばいい。それだけ」
「そう考えると気持ちが楽になる」
「今度からボクを呼んで、そろそろ戻ったほうがいいかも」
「戻るってどこへ?」
「武装探偵社。それじゃ、行ってらっしゃい!」
目の前が真っ暗になった。
香織は身体が浮遊している感覚を感じる。