【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
(私、死んだの?)
「ぉーぃ」
(覚悟決めたはずなのに生きたいって思っちゃっう)
「おーい」
(三途の川が見えないけど誰かの声がする)
「香織!!死んでないから起きてよ!!」
「す、すみません!!」
反射的に謝りながら目を開ける。
「ぅえ?」
真っ先に見えたのは雲ひとつない青空の下に黒髪がちらつく。
誰かに香織の身体が抱きかかえられているようだ。
ぼやけて見えていたが次第にはっきりと見えて来た。
「え、唯斗!?」
黒髪に緋色の瞳、あの頃から変わらない黒いコートを着た唯斗の姿が目に映る。
「やっと起きた」
「何で!?というか降ろして!!」
唯斗から降りようと思った香織は身体をバタバタする。
「あっちょっと!下、見てよ」
「下?」
唯斗に言われた通り、下に目を向ける。
「待って待って!!降ろさないで!!無理!!」
香織の状況としては爆発によってバラバラになった白鯨の残骸の上に唯斗がいる状態で足場がない。
落ちれば残骸の隙間を通って海にダイブする。
「分かった!分かったからジタバタしないで!!」
唯斗が言うと香織は大人しくする。
「で、何でここにいるの?」
「うーん、それは福沢諭吉って奴の異能のお陰じゃない?香織、探偵社員じゃなかったし」
「え、、、」
知らない事実に香織は驚愕する。