【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
先程脱出に成功した敦達は別の場所に居た。
「鏡花ちゃーーん!!如月さーーん!!」
「どうして……どうして彼女達がっ」
「鏡花…愚か者め」
「これで善かったのだよ敦君」
敦と芥川の前に太宰が現れた。
「太宰さん……」
「鏡花ちゃんは無事に克ち、街を救った……探偵社に相応しい高潔さでね」
「でも、如月さんは‥‥」
「香織は『まだ』探偵社員ではない。でも、彼女は命を犠牲にする覚悟を持ち、最後まで足掻いて鏡花ちゃんをサポートした。確かに厳しすぎる結末だね、でもそうしなくてはならない理由があったのだよ」
「……?」
敦が首を傾げていると武装探偵社の社長である福沢諭吉が姿を現す。
「社長の異能−−−『人上人不造』は自分の部下‥‥つまり探偵社員にのみ発動する。効果は『異能の出力を調節し制御を可能にする』制御能力だ。敦君が腕や脚のみなら虎の異能を操れるようになったのは探偵社に入ったからだ」
「そして鏡花ちゃんと香織は入社試験に合格した。衝突の直前にね、それが如何いう事か判るかい?」
「!?」
ブワッと風を纏わせた鏡花が夜叉白雪と一緒に現れる。
「夜叉の刀で鎖を斬って脱出した」
敦は鏡花に駆け寄ってその身体を抱きしめた。
「……痛い」
「悪かったね二人共秘密にして、そうでないと入社試験にならなかったから」
「もしかして……最初から全部……?」
「街は救われた。敵は打倒され鏡花ちゃんと香織は合格した。不安もあったが巧くいって善かったよ」
「太宰さん、最早邪魔する者は無い。今日こそ……僕の力を」
芥川が太宰を見つめて言った。
「如何かな、もう限界だろう?組合の長を倒したんだから……強くなったね」
太宰に褒められた芥川は倒れた。
「ありゃ」
「あ、あの‥‥如月さんは?」
「おかしいね、そろそろ戻って来てもいい頃なのに」