【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
操縦室のドアを開けた香織が見た先には知っている人物がいた。
「え、敦君!?」
「如月さん!無事で良かったです!!」
香織は思わず敦に駆け寄る。
「貴様は‥‥」
敦の隣から声が聞こえた香織は視線を横に向けると黒髪の青年が立っていた。
「あなた‥‥」
以前、『この男を見たら、直ぐに逃げろ』と国木田に言われていたことを思い出す。
「芥川龍之介君?」
軽くだが知っている。
ポートマフィアに所属していて、上級構成員。
その上、太宰の元部下だ。
「あなた、マフィアの人でしょ?何で敦君と一緒に?」
「成り行きだ」
「そうなんだ」
「それで、敦君。さっきから爆発音がするけど何が起きてるの?」
芥川から敦に視線を戻して聞く。
「白鯨が落下しそうになってこの端末で落下を阻止しようとしたんです。でも何者かがコントロールを奪って‥‥」
「まだ方法はある」
通信機から鏡花の声が聞こえてくる。
「「鏡花ちゃん!?」」
敦と香織の驚く声がハモる。
「そちらの状況は聞いた。大質量で無理矢理叩き落とせば街に届く前に墜落させられる。この無人機を衝突させる」
「そうか、凄いよ鏡花ちゃん!これで皆助かる!!」
その後、敦はハーマンにパラシュートの準備をお願いする
「君も早く逃げるんだ」
「無理。私は虜囚、足首に鎖がついていて脱出装置があるところには行けない」
鏡花と敦の会話を聞いていた香織は今の状況がさっぱり分からない。
何で鏡花が無人機にいて、虜囚になっているのか。
(もしかして‥‥いや、もしかしなくても私が知らない間に組合線終盤に差し掛かってる?)
「そんなの駄目だ!!」