【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第14章 華麗なる幕引きを
「お!開いた開いた!」
(いや、開いたというよりも壊したに近い)
茶髪の少女が部屋に入って来る。
香織はドアの残骸を見て、目の前の景色に驚く。
(この子、私とそう変わらないのに力あるんだなぁ)
「ありがとう」
「いえいえ〜!へぇ、君が如月香織チャンか」
香織に近付いた少女は興味津々に顔を覗き込む。
「えっと、私のこと知ってるようだけどあなたは?」
香織からすれば見覚えも無ければ初対面だ。
陽キャでコミュ力があるのが印象的に見える。
「私はディアナ!よろしゅーね」
組合・補佐官
ディアナ・アニシア
異能力−−合間の異色
「よろしく。ところでさっきから白鯨が揺れてるけど何かあったの?」
「さぁね、途中まで道案内するから操縦室に行ってみたら?」
「うん、そうしてみる」
そう言ったものの少し怪しい。
香織を狙っているはずなのに何故手助けしてくれるのか不思議だ。
香織が思っていることが顔に出てたのかディアナには分かったようで口を開く。
「あ、怪しいんならそこんとこは安心して、私もう組合から抜けるし」
「え、、、」
「それじゃ、出発しんこーう!」
ディアナは香織の手を引いて船内の廊下を歩く。
「抜けるってどういうこと?」
「そのままの意味だよ、ざっくり言うとスパイなんだよねー」
ノリと言葉が合ってない。
初対面の人にこんなベラベラと話していいことなのかと思ってしまう。
「スパイ!?」
「そう、スパイ」
「そんなこと私に言ってもいいの?」
「いいのいいの」
本当にいいのだろうかと思いながら香織は前に進む。
「あっ、そこの突き当たりを右に進むとデカイ扉があってそこが操縦室」
指を指しながらディアナが香織に説明する。
「分かった。案内ありがとう」
「じゃ、私はこれで撤退するから死なないようにね」
ディアナは軽く手を振って立ち去り、香織はディアナの言葉に違和感を覚える。
(死なないように?)
首を傾げながら香織は角を曲がって制御室に向かうのであった。