【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第13章 ティーパーティー
意識を取り戻すと香織は高そうな部屋のベッドで寝かされていた。
目の前には組合の団長、フィッツジェラルドが居る。
「お目覚めのようだな」
「あなたは!」
顔を見た香織は名前を思い出そうとするが長すぎて正直覚えていない。
「フィ、フィ‥‥フィッシュ?‥‥ジュエリー?なんか違うな‥‥あっジェラート!」
「フィッツジェラルドだ」
「うわ〜惜しい!」
あちゃ~という感じで香織が言う。
「全然惜しくないのだがな」
「で、そんな人が何で私の目の前にいるの?」
ここに来る前は組合の構成員と戦った記憶がある。
恐らく、気絶してここに来たのだろう。
「言っただろう。君をティーパーティーに招待すると」
(にしては雑過ぎない?)
こんな状況で優雅にお茶を飲んでいる場合ではない気がする。
しかも、相手が今戦っている敵のボスと。
初めて会った時からフィッツジェラルドは香織に執着しているように見える。
「あの、ティーパーティーというのは私をここに連れてくる口実ですよね?本当は私と何かを話すためなんじゃないですか?」
「その通り、君は白紙の文学書について知っているか?」
「白紙の文学書?」
香織からすれば初めて聞いた単語だ。
「ヨコハマのどこかに封印されているという、書いた事が真実となる白紙の文学書。『本』と呼ばれている」
夢物語のような内容に香織は驚く。
そんなものがあったとしたら最悪、世界が大変なことになるだろう。
「その様子だと何も知らないようだな」
フィッツジェラルドの話を聞いた香織はハッと何かに気付く。
「もしかして敦君が懸賞金を懸けられている理由は−−-白紙の文学書と関係がある?」