【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第12章 三社鼎立
「太宰君!探偵社に行く時間だよ!」
「だるい、行きたくない」
扉越しに太宰の声が聞こえる。
「ほら、美人の人が依頼に来るかもしれないよ!」
「憶測で語るのは良くないよ、香織」
一向に出てくる気配がない太宰に香織は強行策に出る。
「もういい!太宰君にご飯作ってあげない!」
香織がそう言うとガチャリとドアが開かれる。
「香織〜行くからそれはやめてくれ給え」
「それなら良し」
サボる気で居た太宰を引きずりながら探偵社へ向かう途中だった。
「そう言えば、今日だったよね?鏡花ちゃんの仕事初め」
「そうなんだ。でもマフィアが鏡花ちゃんに危害を加える可能性あるよね?現に抜けてるわけだし」
「鏡花ちゃんの電話に着信があれば信号が出る様に改造したとは云え、彼女の異能が使われるか…」
太宰と話していると香織の携帯電話が鳴る。
「あっ、国木田さんからだ」
「如月か、そこに太宰いるか!?」
「居るよ、何かあったのかい?」
香織は音量を大きくして太宰に聞こえるようにする。
「小娘の携帯電話に着信があった。お前達も山下公園の中央広場に向かってくれ」
国木田からの電話は直ぐに切れ、香織と太宰も直ぐに向かったが遅かった。
広場に残る弾痕と血の池、その中には国木田、賢治、敦の他にマフィアの構成員達、さらには幹部の姿があった。
ポートマフィア幹部
尾崎紅葉
異能力−−金色夜叉
「一体、何があったの?」
「恐らく、マフィアと衝突しようとした時に組合から横槍を入れられたのだろうね」
「人、呼んだほうがいいよね」
香織は探偵社の社員に電話をかける。