【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第11章 たえまなく過去に押し戻されながら
その後、敦達は探偵社の事務所に戻り、今日あったことを太宰に報告した。
探偵社に戻った頃には鏡花の過呼吸も収まり、今は落ち着いている。
捕らわれていた賢治も無傷であったので、一安心だ。
福沢から、これ以上無理をさせる訳にもいかないとの事で、数名帰す事になった。
「で、どうなんだい?太宰とは?」
「いや、その前に−−何でこの状況になってるの!!今、賢治君が拉致られてたり、組合の人と戦ったばかりだし恋バナなんてしてる場合!?」
「こんな時だからこそですわ!」
(駄目だ。引く気がない)
悠長に恋バナをしている場合なのかと疑問に思ってしまう。
何故こんなことになったのだろう。
(部屋に入れたのが間違いだったのかも)
今から数分前、香織の部屋に与謝野、ナオミ、そして鏡花が訪ねてきた。
「お姉さん、あの人のこと好きなの?」
「鏡花ちゃんまで‥‥」
「どうなのですの!太宰さんとの進展は?」
「あの、一応隣の部屋が太宰君だよ、ここで恋バナしないとダメ?」
「「「ダメ」」」
「あらま、息ぴったり」
引く気がない三人に香織はため息をする。
「何を求めているのか分からないけど私と太宰君は友人だからね?恋に発展しないからね?」
「本当に!ただの友人ですの!?」
「こりゃ重症だね」
前のめりになって聞くナオミと頭をかかえる与謝野、香織と太宰の関係を全く知らない鏡花は黙って聞いている。
「あっ、私のことより鏡花ちゃんはどう?敦君と仲が良さそうだし」
「敦は‥‥仲間、それ以上でもそれ以下でもない」
「そうそう、私も鏡花ちゃんと同じ意見だから!!ね!」
強引に話を終わらせ、三人に帰るように促す香織であった。