【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第11章 たえまなく過去に押し戻されながら
社員寮に帰ってから香織は約束通り、太宰に拳銃の扱い方を教えて貰った。
発泡したら流石にまずいと思い、構えだけやった。
翌日、出勤早々に国木田に怒鳴られて香織と太宰は報告書提出を命じられた。
捕まってた分の仕事も片付けながら報告書を作成する。
香織と太宰がマフィアに捕まっていた間、色々と起こっていた。
敦が芥川龍之介という人に捕まり、船を一艘沈めてたり、新入社員でマフィアの元暗殺者の女の子−−泉鏡花が入って来た。
「国木田さん、報告書完成しました」
「そこの机に置いといてくれ」
香織は国木田に報告書を提出していると敦と鏡花が太宰と話していた。
どうやら二人は同棲することになったそうだ。
そんな敦を上手く言いくるめて遊んでいる太宰の姿が見える。
「敦で遊んどる暇があったら、ポートマフィアに捕らわれた件の報告書を出せ。如月は報告書を片したぞ」
「流石香織だね、私の分の報告書も書いてくれるかい?」
「嫌だよ、自分で書いてよ」
「えー面倒くさい」
太宰を口を尖らせながら言う。
「あっ、そうだ敦君。敦君に懸賞金を懸けた人物が判ったよ」
太宰の言葉に敦は驚く。
「本当ですか!?」
「マフィアの通信記録に依ると、出資者は『組合』と呼ばれる北米異能者集団の団長だ」
組合の構成員は財政界や軍閥の要職を担う一方で、裏では膨大な資金力と異能力で数多の謀を底巧む秘密結社。
「敦君だけじゃない。香織も150億の懸賞金を懸けられている」
「実在するのか?組合は都市伝説の類だぞ、構成員は政財界や軍閥の要職を担う一方で裏では膨大な資金力と異能力で数多の謀を底巧む秘密結社−−まるで三文小説の悪玉だ。第一そんな連中が何故敦と如月を?」
「おっしゃる通りで」
敦の言葉に香織は共感するように頷く。
「直接訊くしかないね、逢うのは難しいだろうけど巧く相手の裏をかけば−−」
「た、大変です!」
話していると谷崎が慌てて探偵社のドアを開ける。
それと同時に何やら外が騒がしくなる。