【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第10章 平穏じゃない日
マフィアから脱出した太宰と香織は歩いていた。
「ねぇ、知ってたの?私に懸賞金が懸けられてるの」
「私もついさっき知ったのだよ。少なくとも払い主はフィッツジェラルドだけじゃないのは確かだね」
「何で150億も−−」
「それはいずれ分かることだよ」
突然150億も懸けられていると言われても困惑しかない。
(もしかして私の異能?)
香織の異能は強力だが今は生命体を出す程度しか使えなく、一般人に等しい。
何の目的で香織を求めているのか分からない。
「そんなに不安な顔をしないでくれ給え、私が香織を守る」
「‥‥結局、私は守られるだけのお姫様ポジションなんだね」
「香織‥‥」
いつもそうだ。
護身術を教わったがそれはあくまで自分を守る術に過ぎない。
前線で戦うことが出来ず、役立たずだと思われても仕方がない。
香織はそれが嫌だった。
「でも、私はみんなと戦いたい!助けたい!だから私に銃の扱い方とか指導してほしいの!守られるだけは嫌だから」
真っ直ぐな目で香織は太宰を見る。
「いい目だ。いいよ、私でいいのなら」
「ありがとう!太宰君!」
にこっと香織は笑う。
「ところで太宰君、どこに向かってるの?」
「社員寮、明日にマフィアから抜けたことにする」
「え‥‥」
太宰の言葉に困惑する香織であった。