【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第10章 平穏じゃない日
廊下を歩き回っても、いずれ誰かと鉢合わせする可能性がある。
とりあえず何処かの部屋に入り、作戦を練ようと近くにある部屋に入った。
(ここ、何の部屋だろう?)
あちこちにパソコンやら機械がたくさんある。
機械をじっと見ていると香織の肩に手が置かれる。
「ひゃ−−」
思わず叫びそうになるが誰かの手で口を塞がれた。
「私だよ、香織」
「太宰君!?」
塞がれた手が退かされて、思わず声を出してしまう。
「どうしてここに?」
「敦君が70億の賞金を懸けられてね、その払い主を調べるために態と捕まったのさ!」
敦に賞金が懸けられていると知らなかった香織は驚く。
太宰は香織の横を通り、パソコンをいじり始めた。
「その中に情報が入っているの?」
「嗚呼、そうさ」
ということは恐らくこの部屋は通信保管室的な部屋だろう。
画面を覗き込みながら太宰を横目で見る。
(マフィアは裏切りを許さないって聞いたことあるけど太宰君が生きてて良かった)
仲間のために命を張るのは普通に出来ない芸当だ。
改めて太宰の凄さ香織は胸を打たれる。
(太宰君、マフィアにいた頃よりも生き生きしてる)
そんなことを思っていると画面画切り替わる。
「……全く……マフィアのくせにセキュリティが甘過ぎるよ、私がいたときと機密資料の隠し場所が変わっていない」
太宰はカタカタとキーボードを打って求めている情報を探している。
「さて……70億も支払って虎を買おうとしたのは何処の誰かな?」
太宰の動きが止まる。
「え、誰?」
香織には見覚えのない名前だった。
しかし、太宰は知っている様子。
「……此奴等は……」
能力者集団 組合・団長
フランシス・F
異能力ーー華麗なるフィッツジェラルド
「待って、私の名前があるんだけど!」
よくよく見てみると香織の名前がある。
「150億!?敦君よりも高い!!」
(私、150億も懸けられることした?)
二人でパソコンを見ていたが防犯ベルが鳴った。
「お、いかんいかん」