【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第10章 平穏じゃない日
香織がマフィアの中で若干迷子になりかけている中、太宰はマフィアの拷問部屋にいた。
「相変わらず悪巧みかァ太宰!」
「その声は」
ポートマフィア幹部
中原中也−−汚れちまつた悲しみに
「こりゃ最高眺めだ、百億の名画にも勝るぜ」
「最悪、うわっ最悪」
「良い反応してくれるじゃないか、嬉しくて縊り殺したくなる」
「わあ、黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる」
「!」
「中也、前から疑問だったのだけどその恥ずかしい帽子、どこで買うの?」
「ケッ言ってろサイコパス、今や手前は悲しき虜囚、泣けるなァ太宰……否、それを通り越して……」
中也は太宰の髪を掴む。
「少し怪しいぜ」
「……」
「俺は騙されねぇ、何しろ俺は手前の元相棒だからな……何をする積もりだ?」
「何って……見たままだよ、捕まって処刑待ち」
「あの太宰が不運と過怠で捕まる筈がねぇ、そんな愚図なら……俺がとっくに殺してる」
「考え過ぎだよ、心配性は禿げるよ……まさか!」
中也は食い気味に帽子を被り
「ハゲ隠しじゃねぇぞ、俺が態々ここに来たのは手前と漫談する為じゃねぇ」
「じゃ、何しに来たの?」
「……嫌がらせだよ」
「……!」
「あの頃の手前の嫌がらせは芸術的だった。敵味方問わずさんざ弄ばれたモンだ。だが……」
中也の蹴りが一閃し、太宰の拘束を解く。
「そういうのは大抵後で十倍で返される」
「……」
「手前が何を企んでるか知らねぇが、これで計画は崩れたぜ」
中也は太宰を指差す。
「俺と戦え太宰……手前の腹の計画ごと叩き潰してやる」