【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第10章 平穏じゃない日
次の駅で降りて、後は警察に任せた。
急いで敦のところへ向かう。
落ちた場所を推測するとおそらく河原だろう。
キョロキョロと敦の姿を探す。
「どうかしましたか?」
「あの、ここら辺で白髪の男の子を−−」
声をかけられた香織は振り向きながら敦の姿を見ていないか聞こうとするがそこにいる人物に固まる。
「え、何でここに−−」
腹部に痛みを感じて、香織は崩れ落ちる。
その身体を抱きしめられる感覚が感じるも香織は意識を失った。
「ようやく見つけたぜ、香織」
◆ ◆ ◆
目を開けると見覚えのある天井が目に入る。
「ここって!!」
バッと起き上がり、身体の隅々を確認する。
手足には問題なく、何も拘束されていない。
大方、眠らされてここに運び込まれたのだろう。
「私が使ってた部屋‥‥」
ここはポートマフィアの本部にある香織が使っていた自室だ。
埃が被っておらず、家具も変わっていない。
(まず脱出が先だよね)
拘束されていないのが不思議だ。
部屋の鍵は空いていたため、そこから廊下に出る。
「あれから6年前も経ってるのか、この廊下も変わらないな」
誰かと出くわさないか心配しながら廊下を歩く。
しばらく歩いていたがピタリと香織の足が止まる。
「やばい」
重要なことを香織は忘れていた。
マフィアにいたのに思い出そうとしても思い出せない。
「出口どこだっけ?」
例え、出口を思い出したとしてもそこには警備がいるはずだ。
バカ正直に出ていったら間違いなく撃ち殺されるのがオチだろう。
裏口から出る方法もあるかもしれないが短い期間マフィアにいた香織にはその裏口の場所が分からない。
「どうしよう‥‥」