【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第2章 出逢いは突然で
「cosineを求めるにはまずsinを使い、両方を二乗してから求めて、この場合は‥‥」
数学の授業は退屈だったcosine?sine?何言ってるんだこの教師。
あくびを噛み殺しながらシャーペンをクルクルと回す。
「この問題を‥‥柳瀬、分かるか?」
「4分の15です。」
「正解だ。」
言った答えを教師が書く。
私は隣を見ると太宰君はにこりと笑みを浮かべる。
「何で教えたんですか?別に私が恥をかこうと関係ないのでは?」
教師に当てられた時、太宰君はノートに答えを書いて見せてくれたのだ。
「香織ちゃんが困っていたから。」
「ありがとうございます。それとちゃん付苦手なので呼び捨てでいいですよ。」
「では僕もそうしてくれ給え。フェアではないだろう。」
「分かりました。」
そんなこんなで放課後になり、終礼も終わった。
今日は部活がない日ですぐに帰れるが先輩から道場の掃除を頼まれてしまった。
先輩にはお世話になっているし断りづらい。
結局、引き受けてしまった。
「つ、疲れたぁ」
竹刀の手入れ、道具の検品、最後の床の雑巾がけを終わる頃にはもう夕方になっていた。
徐々に闇の色がちらついて来るのを中から見ると急いで帰る支度を整え、外に出る。
「帰ったら目覚まし時計の修理しないと‥‥」
"バーン"と何かがぶつかった音がしたのは校門を出る直前だった。
「な、何!?」
音の発生源は体育館。
興味本位で体育館に向かう。
「ちっ、転校初日で出て来るとは思わなかったぜ。」
「こっちとしては都合はいいけどね。」
聞き覚えのある声がする。
これの声は‥‥
「太宰君?」
ドア越しに聞こえてくる声に驚いた。
中にいるのは恐らく3人。
太宰ともう一人、そして音を発生している者。
「あっおい!逃げるぞ!!」
体育館の窓ガラスが砕け散り、出て来たのはどす黒い『何か』だった。
運悪くもその何かと遭遇してしまう。
あれに取り込まれでもしたら殺されると思い、走り出した。
「くそっ、まだ人がいやがった!」
「これは少しまずいことになったね。」
太宰ともう一人は窓ガラスを破って出て行ったものを追いかける。