【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第9章 入社試験
「あれ?花が新しくなってる」
母の墓に供えられた花は見るからに新しくなっている。
香織がここに来たのは半年前だ。
「友人の人が来たとか?」
分からないまま香織は買って来た花を供える。
ブワッと風が強まり、横髪を耳にかけながら振り向く。
墓地は高いところにあり、そこからはヨコハマの街が見渡せる。
(今日も平和だなぁ)
ずっとこの平穏が続いてほしいと思う。
この時の香織はまだ知らなかった。
ヨコハマに災禍が降りかかろうとしていることに。