【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第9章 入社試験
「「「あ」」」
ピッと嫌な音がする。
敦は転んだ勢いで落ちていた爆弾の釦を押してしまったのだ。
爆弾に時間が表示される。
あと5秒しかない。
「爆弾が!」
社内が騒然とする中、敦が動いた。
敦が爆弾に覆いかぶさった。
「莫迦!」
敦は目を瞑った。
タイマーが0になる。
爆弾は爆発しなかった。
敦はゆっくりと目を開ける。
目の前には太宰、国木田、香織。
そして先刻まで爆弾魔として拘束されていた少年の姿があった。
「やれやれ…莫迦とは思っていたがこれ程とは」
呆れた顔で国木田が言った。
「自殺愛好家の才能があるね、彼は」
太宰は笑っている。
「ごめんね、篤君」
申し訳無さそうに謝る香織。
「へ?−−え?」
まだ状況が掴めていない敦。
その横を颯爽と一人の影が通っていき、先刻の爆弾魔に抱きついた。
「ああーん、兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
「痛だっ!?痛いよナオミ、折れる折れる。って言うか折れたァ!」
よく見ると先刻人質とされていた制服姿の女の子だ。
敦は益々理解が追いつかない。
「………へ?」
「小僧。恨むなら太宰を恨め。若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
国木田が溜息交じりで言うと、『そう言うことだよ』と太宰が続いた。
「つまりこれは、一種の入社試験だね」
「入社…‥試験?」
「その通りだ」
後ろから、聞いたことのない声が聞こえて振り返る。