【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第9章 入社試験
武装探偵社、社長
福沢諭吉
異能力−−人上人不造
「社長」
国木田が一礼する。
敦はいきなりの社長の登場に驚いている。
「そこの太宰めが『有能なる若者が居る』と言うゆえ、その魂の真贋試させてもらった」
「君を社員に推薦したのだけど、如何せん君は区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね。で、社長の一声でこうなった、と」
太宰の説明を黙って聞いている敦。
唖然としていた。
「で、社長…結果は?」
国木田の問いに福沢は敦をじっと見つめる。
そして、"太宰に一任する”と言い残し去って行った。
それを呆然と見ている敦に太宰が声を掛けた。
「合格だってさ」
「つ、つまり…?僕に斡旋する仕事っていうのは−−」
敦は恐る恐る太宰に尋ねた。
太宰はクスリと笑い『武装探偵社へようこそ』と敦に告げた。
敦は固まっている。
そこに、制服姿の女の子と爆発魔がやって来た。
「うふ、よろしくお願いしますわ」
「痛い!そこは痛いってば。ナオミごめん、ごめんって!」
谷崎潤一郎
異能力−−細雪
その妹、ナオミ
敦は気が抜けた様に崩れ落ちた。
「ぼ、僕を試すためだけに…‥こんな大掛かりな仕掛けを?」
「この位で驚いてちゃ、身が保たないよ」
太宰が笑顔で答える。
敦は勢いよく後退りして行く。
「いやいや!こんな無茶で物騒な職場、僕無理ですよ!」
その反応を見て、太宰は顎に手をやり考え込む。
「君が無理と言うなら、強制はできないね。となると君が住んでる社員寮、引き払わないと。あと寮の食費と電話の払いもあるけど…‥大丈夫?」
最後の方は敦への心配というよりは少し脅しに近かった。
敦に選択肢は無い。