【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第9章 入社試験
「知ってるぞ。アンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な能力とやらを使うんだろ!?妙な素振りをしたら、皆道連れだ!」
爆弾魔は先刻より激昂していた。
その様子を残った三人が影で見ていた。
「まずいねこれは。探偵社に私怨を待つだけあって、社員の顔と名前を調べてる」
「私達が行っても火に油を注ぐだけだね」
太宰と香織は何かに気付き、敦を見てニヤリと笑った。
敦も二人の何かに気付き、青ざめる。
「社員が行けば犯人を刺激する。となれば、無関係で面の割れてない君が行くしかない」
「むむ、無理ですよそんなの!第一どうやって−−」
「犯人の気を逸らしてくれれば、後は私達がどうにかするよ」
敦は首が取れそうな勢い横に振った。
「信用し給え。この程度の揉め事、武装探偵社にとっては朝飯前だよ」
とても信用出来ない笑みで、太宰は敦にお願いする。
敦は諦めるしか無かった。
「や、やや、やめなさーい!」
敦が犯人の前に飛び出した。
「何だアンタっ」
爆弾魔の反応に更に引きつる敦。
「ぼぼ、僕は騒ぎを聞きつけた一般市民ですっ!いい、生きていれば好い事あるよ!」
演技とは思えない駄目人間っぷりを発揮する敦。
爆弾魔の説得を行う。
さっそく、敦の目の方が狂気じみている。
爆弾魔は激しく動揺した。
その隙を太宰と国木田は見逃さなかった。
国木田は持っていた手帖の頁に素早くペンを走らせた。
「独歩吟客!鉄線銃!」
文字が書かれた頁を破り取ると、その紙が鉄線銃に変わった。
それを爆弾魔の手元に向けて発射する。
犯人の手からリモコンが落ちた。
「確保っ!」
太宰の掛け声と共に国木田は爆弾魔に素早く詰め寄り、一撃を食らわせた。
凄い音と共に、爆弾魔は確保された。
その様子を見ていた敦は力が抜けてしまっている。
影で見ていた太宰と香織も、国木田の元へ駆け寄る。
その時、足元がふらついた敦が倒れた。