【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第7章 新たな旅立ち
卒業式後の打ち上げ会。
中華街にある店ですることになった。
その帰り道、香織は一人で夜道を歩いている。
朱美も一緒にだったがやることがあるそうで途中で抜けてしまった。
(今日は楽しかったなぁ)
一般企業の就職先が決まり、香織はやることをやり終えた気分だ。
目に見えた公園のベンチに座って、夜風に当たる。
(私、こんなのでいいのかな)
やりたいことがなく、興味があるものがない。
一度きりしかない人生を果たしてこれでいいのだろうか。
(今から考えても遅い気がする)
香織が悩んでいると男性が話しかけてきた。
「ねぇ君、こんな所で何してるの?」
「え、えっと」
知らない人に話しかけられた香織は戸惑う。
(これってナンパ!?)
「じゃあどうして君がここにいるのか当ててあげる!」
そう言って男性はポケットから眼鏡を取り出して装着した。
香織からすれば何をしているのかサッパリ分からない。
「乱歩、どうかしたのか?」
後から来た社長と呼ばれた白髪の男性がやって来る。
「‥‥社長、この人は探偵社に必要だ」
「どういうことだ?」
「この人の名前は柳瀬−−いや、如月香織。元々は柳瀬っていう苗字だけど色々あって如月の性を名乗ってる。そして彼女は実験体だ」
「なんでそこまで‥‥」
「僕は名探偵だからさ!」
自称名探偵と名乗る男性はベラベラと香織について話し出した。
亜鬼薬事件やマフィアと協力していたことについても話し出された。
「そこで提案なんだけど君の経験を生かして人を助ける気はない?」
「私はマフィアと協力した身‥‥そんな人が人助けできるの?」
「できるさ、人を助けたいって気持ちがあれば」
男性は香織に手を差し伸べる。
(マフィアと関わったとかそんなの関係ないんだ。人を助けることで誰かが幸せになるのなら−−)
香織は男性の手を掴んだ。
「ようこそ、武装探偵社ヘ」
新たな道へと続く扉が開かれた。
そして、舞台は4年後に移り変わる。