【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第7章 新たな旅立ち
「太宰君、笑って」
カシャリと音が聞こえる。
「太宰君も卒業生だから一緒に取りたかったんだ。後で写真送っとくね」
「ありがとう」
「そういえばみんな元気?私が知ってるのは森さんとかエリスちゃん、姐さんと広津さんと中也君だったかな」
「色々あったけどみんな元気だよ」
「それなら良かった」
そう言いながら香織は廊下の窓から校庭を見る。
「太宰君は−−今、幸せ?」
「‥‥分からない、何でそんなこと聞くの?」
「なんかね、初めて会った時に違和感があったの。それが何なのか分からなかった。でも、今だとその違和感が分かった気がする。太宰君は孤独を埋めようとしている感じがする」
「っ!?」
驚いた太宰は香織を見る。
「気を悪くしたらごめん。ここからは私の勝手な憶測、太宰君がマフィアに入ったのは生きる意味を探すこと−−そう思うんだ」
(私が太宰君の生きる意味と孤独を埋められたらいいのに)
そんなこと香織は自分には無理だと感じた。
太宰と話していると香織の携帯が鳴る。
「もしもし?」
「香織!遅い!!小黒先生と一緒に撮るのにみんな並んでるから早く来て!」
「うん!分かった!!」
電話が切れると香織は太宰を見る。
「行ってきなよ」
「太宰君は行かないの?」
「後から面倒なことになりそうだし」
「太宰君がそう言うなら‥‥じゃね!警備員さんに見つからないようにね!」
香織は急いで廊下を走って、太宰の前から消える。