【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第5章 母が遺したもの
ドアを叩く音に母さんは出ようとする。
私も母さんに続いて玄関に向かう。
「はーい」
ガラガラとドアを開けるが母さんは未だに動こうとしない。
「かーしゃま?」
「‥‥に、げて」
母さんの身体が崩れ落ちる。
腹部には血がついていた。
「かーしゃま!」
母さんに近付き、来訪者を見る。
面識のない、男だった。
「ガキ!こっちに来い!!」
男に腕を掴まそれになったが母さんが止めに入る。
「やめて!」
母さんが手をかざすと、男は意識を失って倒れる。
男が倒れたのを確認すると、母さんが口を開く。
「か、おり」
血を吐きながら母さんは私の名前を呼ぶ。
「あなた、に‥‥言わなくては、ならないことがあるの‥‥」
「?」
「あな、たは‥‥異能者よ‥‥それも、強力な異能。あの人に‥‥似たのでしょうね」
血塗られた母さんの手が私の頬を撫でる。
「わ、たしは‥‥あなたの、異能を‥‥悪用されない、ように、異能を封じたの‥‥でも、あと数年もすれば解ける。その時、あなたは‥‥あなたが、守りたい人達のために、使いなさい」