• テキストサイズ

【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第5章 母が遺したもの







「かーしゃま!」

「ん?な~に?」

目の前でじゃれつく幼い女の子と、先程見た藤色の着物を着た女性が女の子の頭を撫でる。

(あの子は−−私だ)

そして、藤色の着物を着た女性は母だ。

(思い出した。全部‥‥)







私の名前は柳瀬香織じゃない。
私の本当の名は如月香織。
柳瀬和雄は私の養父で、血の繋がった父の顔は知らない。
物心ついた時から母さんしかしなかった。

「かーしゃま、何で私にとーしゃまがいないの?」

気になった私は父について聞いたことがあった。
父の話をすると、母さんは悲しげな顔をする。

「あなたの父さんはね、ここから海を渡ったところにいるのよ」

今なら分かる。
恐らく大人の事情というものなんだろう。
ひっそりと静かに母さんと暮らしていた。
そんなある日、私の幸せな時間は突如終わりを迎えた。




/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp